【税込み総額表示】2021年4月から義務化で起きうる問題とは?

まもなく4月。
この四月から「価格表示」に対する大きな変化が起こることはご存知でしょうか?

今まで当たり前に見かけていた

990円+税

こういった表記が出来なくなってしまうのです。

消費税における総額表示の”特例”が2021年3月31日に終了します。

4月1日からは、店頭やチラシ、WEBページなどで価格を表示する時は「総額表示」が原則となります。※口頭による価格提示は含まれません。

@spicagraph様より画像提供

現状特に罰則が定められているわけではありませんが、

・今後消費税法違反の罰則対象になる可能性がある
・消費者イメージ(コンプライアンス)に関わる

ことを考えると、きちんと対応していかなくてはいけないところ。

さらに、この問題。
単純に価格の表示を改めるだけではなく、価格戦略にも大きく関わってくるのです。
無関心でいると、大きな売り上げ減少に繋がってしまうかもしれません。

売上減。顧客離れ。想定できる問題とは?

「どうして総額表示が売上減少につながるの?」
まずはこの価格を見比べてみてください。

❶ 9900円+税
❷ 9900円(税込み価格10890円)
❸ 10890円

今までは❶の表記で
「1万円しないんだな」
という割安感を演出することができました。

しかしこれからは❷、❸の表記が必須。
今までの価格戦略を助けてきた、ギリギリで大台に乗らない(ようにみえる)価格が使えなくなってしまったのです。

税抜表示のお店で数点買い物をして、いざお会計になったら
「あれ?思ってたより高い」
という経験はあなたにも覚えがあるのでは?

そう、10%は「思ったより高い」と顧客に印象づけるには充分な差額。

あなたの「安さ」に最大の魅力を感じていた顧客の場合、最悪他へ流れてしまうことも考えられます…。

そんな事態をさけるために、大手各社の具体的な対応をみていきましょう。

具体的な対応は?大手の価格戦略を確認

総額表記対応は大きく分けると3つあります。

❶単純に表記変更
❷もとの価格を総額対応(実質値下げ)
❸新価格に変更(実質値上げ)

ひとつずつ見てみましょう

単純に表記を変更

スーパー等小売店では、この対応が最も多くみられます。

メリット
商品の価格変更登録等、事務的な手間が少ない。
利益が変わらない
デメリット
「割高感」による購入意欲減。
顧客離れ

❷元の税抜き価格=新税込み価格

大手通販会社やユニクロ・GUを擁するファーストリテイリング社はこの対応。
高まる節約志向に実質値下げで対応(3月12日日本経済新聞)と分析されています。

メリット
消費者離れを防げる
「実質値下げ」の謳い文句による購買意欲向上
デメリット
同じ売上でも純利益が約10%減少
仕入れ・下請けがある場合その対応は?

❸新価格

「モスバーガー」を展開するモスフードサービスは、4月1日に価格改定を行います。
テイクアウトと店内飲食価格を統一。
そして「商品とサービスの品質維持のため」として一部商品で最大20円の値上げをとしました。

メリット
利益改善
商品・サービスの品質保持
デメリット
顧客離れ・売上減少
※ちなみに同社では売上の影響は2%と見込んでいます

「今の価格じゃ正直キツイ…」
様々な原価上昇にコロナ対策が加わり、そう感じておられる方も少なくないと思います。
価格表記変更、という各社横並びの事情があるタイミングは価格見直しのチャンスかもしれません。

ピンチをチャンスに。この先の価格戦略につなげましょう!

価格マーケティングに特に力を入れている会社の対応をみると、❷の実質値下げが多い印象。

顧客離れを最大のダメージと考えているようです。
その場合は約10%の利益を失うわけですから、右にならえで単純に値下げに踏み切るだけでなく

今までサービスにしていたものを、オプションメニュー化する。
上位価格の新商品を開発する

など、利益維持のための工夫が必要になります。

一方利益を守る選択をした場合も、「以前と同じくらい買いたくなる」仕組み作りが必要になります。

商品価格はなかなかテコ入れをしにくい項目。
この機会により成長につながる選択と戦略を考えていきましょう。

戦略見直しにはこちらがおすすめ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です